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[1993年プリツカー賞]槇文彦氏の代表作品&設計の特徴を紹介! 一級建築士学科試験 計画

学科試験

建築界のノーベル賞と言われる「プリツカー賞」を1993年に受賞した“槇文彦氏”が2024年6月6日に老衰のため、95歳で亡くなりました。

槇文彦氏は、千葉市の「幕張メッセ」や渋谷区の「ヒルサイドテラス」など公共施設や商業施設の設計を手がけるなど多くの活躍を残しています。

そこでこの記事では、槇文彦氏の実績代表作品10選における設計の特徴を紹介します!

この記事を読むメリット

  • 槇文彦氏がどういう人物か分かる!
  • 代表作品を知ることができる!
  • 設計の特徴を知ることができる!
ひよこ君
ひよこ君

一級建築士学科試験の「計画-事例問題」では、最近のトレンドを問題として出題する傾向があるから、受験予定者はぜひチェックしてみて

歴代プリツカー賞:受賞者

プロフィール

“都市との関係性”“公共空間のあり方”を重視し、国内外で多くの建築作品を発表している。

1979~89年に母校である東京大学の教授を務め、海外でも講演を行うなど、後進の育成にも力を入れていた。

都市論の名著である「見えがくれする都市」を執筆しており、東京の“都市構造”について「奥」という概念から考察している。

「槇文彦氏」
jeanbaptisteparis – flickr: Fumihiko Maki, CC 表示-継承 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=14465487による

経歴

  • 1928年(昭和3年)に東京都で生まれる。
  • 東京大学工学部建築学科に入学、1952年(昭和27年)卒業している。
  • アメリカに留学し、クランブルック美術学院及びハーバード大学デザイン大学院修士課程修了。
  • 1965年(昭和40年)に槇総合計画事務所を設立。
  • 2024年6月6日、老衰のため死去。(95歳)

主な受賞歴

1962年 – 日本建築学会賞作品賞(名古屋大学豊田講堂)
1980年 – 日本芸術大賞(ヒルサイドテラス)
1984年 – 日本建築学会賞作品賞(藤沢市秋葉台文化体育館)
1993年 – プリツカー賞
1998年 – 村野藤吾賞(風の丘葬斎場)
2001年 – 日本建築学会賞大賞
2011年 – AIAゴールドメダル

代表作品10選

ヒルサイドテラス

建築概要

  • 所在地:東京都渋谷区
  • 用途:複合施設(集合住宅、店舗、オフィス、ギャラリー等)
  • 階数:3~5階/B1~2階
  • 構造:RC造
  • 竣工年:1967年 – 1992年

特徴

  • ヒルサイドテラスは住居・店舗・オフィスからなる複合建築で、1967年~1992年までの間で段階的に建設されてきた。
  • 半地下になったフロアを含めて、各階はスキップフロアで計画することにより、微妙な高さの差を生み、空間に奥行きを生み出している。
  • 中庭を囲むような設計で住む人々と訪れる人々の動線が混ざり合うように計画され、パブリックスペースを創り出している。

過去問(令和3年:No.14、平成23年:No.11)

Q. 代官山ヒルサイドテラス(東京都)は、建築群が内包する広場や路地等を主要素として外部空間を形成し、周囲の純和式建築物や庭園とゲートによってつながるように計画された。

A. ○(正しい)

Q. 代官山ヒルサイドテラス(東京都渋谷区)は、住宅、商業施設、オフィス、レストラン等の機能が複合した建築群で構成された都市型集合住宅で、長い年月をかけてまちなみをつくり出している。

A. ○(正しい)

加藤学園初等学校(加藤学園暁秀初等学校)

建築概要

  • 所在地:静岡県沼津市
  • 用途:小学校
  • 階数:2階/B1階
  • 構造:RC造
  • 竣工年:1972年

特徴

  • 日本で初めて「オープンクラスルーム」を採用し、教室間の間仕切りをなくし、開放感を高めた計画とした。
  • オープンクラスルームの面積は16m×16m(256㎡)で計画しており、一般的な教室の面積が7m×9m(63㎡)のため、約4倍の広さとしている。
  • 児童の机は台形になっており、配置を円形・長方形などアレンジできるようにしている。また床仕上げを「カーペット敷き」にすることにより、床に座って勉強をするなど多様な勉強法を可能としている。

過去問(平成18年:No.12)

Q. 「加藤学園暁秀初等学校」(静岡県沼津市、1972年)は、学習センターを中心として、オープンクラスルーム(16m×16m)と特別教室を中庭を介して配置している。

A. ○(正しい)

スパイラル

建築概要

  • 所在地:東京都港区
  • 用途:複合文化施設(ギャラリー, 多目的ホール, 商業店舗)
  • 階数:9階/B2階
  • 構造:SRC造
  • 竣工年:1985年

特徴

  • モダンデザインを象徴する“正方形”、“円”、“正三角形”、“円錐”など「純粋幾何学体」を基本要素としている。
  • 外観には部分的形体を積み上げていくという「コラージュ的手法」を採用している。
  • 建築素材には“アルミパネル”や“ガラス”“金属的なタイル”を多用することで、現代的でシャープな雰囲気を醸し出している。
  • 内部空間にはスパイラル状にスロープが設置された円筒形のアトリウムを設けることで、ゆったりとした贅沢なパブリックスペースが広がっている。
内部空間(スロープ)
Chris 73 / Wikimedia Commons, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=498552による

京都国立近代美術館

建築概要

  • 所在地:京都府京都市
  • 用途:美術館
  • 階数:4階/B1階
  • 構造:RC造,S造
  • 竣工年:1986年

特徴

  • “京都のグリッド”と“左右対称の岡崎公園”を尊重し、美術館の壁面は「花崗岩のグリッド」「対称性をもった正面のデザイン」によって構成されている。
  • “高い天井のエントランスやロビー”や“大階段におけるトップライト”、“疏水を見渡すことができる大きなガラス”等により、開放的な建築となっている。
  • 展示室には外光を取り込めないが、“四隅にガラス張りの階段室”を設けることで、気分転換できるように工夫されている。

幕張メッセ

建築概要

  • 所在地:千葉県千葉市
  • 用途:展示場, 会議場, ホール, アリーナ
  • 階数:4階/B1階
  • 構造:RC造,PCa造,S造
  • 竣工年:1989年

特徴

  • 敷地はホテル・商業施設・レストランが隣接しており、成田空港・羽田空港からのアクセスが容易という好立地である。
  • 「国際展示場」「国際会議」「幕張イベントホール」の3施設で構成されており、2階レベルでペデストリアンブリッジにより連結されている。
  • 房総半島の山並みをイメージして作られた【第Ⅰ期計画】国際展示場1-8ホール外房・内房の波をイメージして作られた【第Ⅱ期計画】国際展示場 9~11が印象的である。

過去問(平成30年:No.17)

Q. 千葉県日本コンベンションセンター国際展示場(通称:幕張メッセ)は、シルエットが山並みをイメージさせる第Ⅰ期計画の建築物と、屋根形状が凹面から凸面に波のように変化する第Ⅱ期計画の建築物があり、これらがつくりだすスカイラインに特徴がある。

A.(正しい)

東京体育館

建築概要

  • 所在地:東京都 渋谷区
  • 用途:体育館, プール
  • 階数:-
  • 構造:RC造,SRC造,S造
  • 竣工年:1990年

特徴

  • 直径約120mの“メインアリーナ”、“サブアリーナ”、“トラック”、“プール”等からなる複合施設。
  • “ジグラードの屋根型の小体育館”“ピラミッド型をしたエントランス”等、様々な幾何学形が合わさり、全体が構成されている。
  • 公園地区で周縁は住居地域のため、アリーナ部分を地下に埋めることで高さを極力抑えた建物になっている。

テレビ朝日本社ビル

建築概要

  • 所在地:東京都 港区
  • 用途:テレビスタジオ, 事務所, 店舗
  • 階数:8階/B3階/棟屋1階
  • 構造:S造,SRC造
  • 竣工年:2003年

特徴

  • 建物の北側はガラス張りになっていて、隣接する「毛利庭園」を屋内から鑑賞することができる。
  • 1階ロビーは「アトリウム」になっており、放送番組のグッズを販売するショップや喫茶スペースがあり、パブリックスペースとなっている。
  • スタジオは外部の騒音から守るために建物中央にレイアウトし、 500mmの遮音壁(コンクリート壁)を設け、その内側に石膏ボードの浮遮音壁を設けている。

朱鷺メッセ

建築概要

  • 所在地:新潟県新潟市
  • 用途:【コンベンションセンター:集会場、展示場】【万代島ビル:複合ビル】
  • 階数:【コンベンションセンター:4階+塔屋1階】【万代島ビル:31階+塔屋2階/B1階】
  • 構造:【コンベンションセンター:RC+SRC+S+PCa造】【万代島ビル:SRC造】
  • 竣工年:2003年

特徴

  • 万代島再開発事業の中核となる施設として計画された“新潟コンベンションセンター”“万代島ビル”からなる複合施設。
  • 槇総合計画事務所が全体計画とコンベンションセンターの設計、KAJIMA DESIGNが万代島ビルの設計を担っている。
  • 海に向け開く“展示場”とシリンダー形の“国際会議場”が中央のアトリウムを介し、万代島ビルのタワーと共に一体の建築群を形成している。

↓“朱鷺メッセ”における詳しい情報は下記の記事からご覧いただけます。

横浜アイランドタワー

建築概要

  • 所在地:神奈川県 横浜市
  • 用途:業務, 商業, 展示
  • 階数:27階/B3階
  • 構造:S造,SRC造,RC造
  • 竣工年:2003年

特徴

  • 「古いものを意識しながら、新しいものをつくる」というコンセプトで設計を行い、“旧横浜銀行本店別館”の一部を保存改修してホールとし、新しい高層オフィスビルを複合した施設。
  • 多く残る歴史的建築物の街並みの調和を図るともに、高層のオフィスビルとして地区の「ランドマーク」となっている。
  • 南北面は等比級数で割り付けたガラスカーテンウォールで構成し、頂部は透明ガラスが空に溶け合うようなデザインとなっている。

横浜市役所

建築概要

  • 所在地:神奈川県 横浜市
  • 用途:市庁舎
  • 階数:S造,RC造,SRC造
  • 構造:32階/B2階
  • 竣工年:2020年

特徴

  • 高層部に行政スペース、中層部に議会スペースを配置し、低層部にはアトリウムを中心に市民利用施設、商業施設など「市民に開かれた空間」となっている。
  • 馬車道駅に直結したアトリウムや川沿いの親水空間を介して周辺地区との歩行者ネットワークを形成している。
  • 低炭素型の市役所として“外装ダブルスキン”“全面輻射空調”等の導入で「ZEB Ready」を実現した。
ひよこ君
ひよこ君

以上で、槇文彦氏における代表作10選の説明は終わりだよ!
他の受賞者もぜひチェックしてみてね!

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一級建築士

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