一級建築士製図試験で不合格になる人に共通して多いのは、エスキスを十分に検討していないのに作図に進んでしまうことです。
エスキスをしっかり行えていないと、作図に進んだ時に迷って手を止めてしまうおそれがあります。
そこでこの記事では、令和5年度一級建築士製図試験「図書館」で合格した著者のエスキスを手順を踏んでご紹介します。
こんな方にこの記事はおすすめ!
- 合格者のエスキスを見たい!
- エスキスの手順を知りたい!
- 合格者は何を考えて、プランをまとめているのかを知りたい!
課題文を理解している前提として紹介しますので、課題内容が分からない方は、下記の「課題文読み取り」の記事をご覧になってからをオススメします。
≫ 合格者が課題文を振り返る!令和5年度一級建築士製図試験「図書館」vol.1はこちらから
≫ 合格者が課題文を振り返る!令和5年度一級建築士製図試験「図書館」vol.2はこちらから
≫ 合格者が課題文を振り返る!令和5年度一級建築士製図試験「図書館」vol.3はこちらから
エスキスの流れ
下記の手順で、エスキスを行いました。
課題文の読み取り
- 最重要項目のチェック(1回目)
- 課題文のマーキング(2回目)
条件整理
- アプローチの検討
- 建蔽率・容積率の確認
- 建築設備の想定
- 室における必要な面積想定
- 部門構成の検討
- 平面ゾーニング、断面ゾーニング
- 階の振り分け
- その他の施設等の検討
プランニング
- 建築物可能範囲の確認
- 高さ制限の確認(道路、隣地、北側)
- 建築物の配置位置、スパン割りの決定
- ボリュームの検討
- 中間チェック
- チビコマ(1コマ分)
- 倍コマ (2コマ分)
- 1/400の検討
- 最終チェック
この記事では、「課題文の読み取り~条件整理」までを説明するよ!
課題文の読み取り
課題文の読み取りは、読み落としがないように2回行いました。
1.最重要項目のチェック(1回目)
1回目の読み取りで、太いマーカーを使い、最重要項目をマーキングしました。
最重要項目の例としては、「北側斜線制限」「一般開架スペースの高天井」等です。
使用した道具紹介
- フリクションカラーズ
フリクションのカラーペンは間違えたとしても、こすると消すことが出来るため、便利です。
2.課題文のマーキング(2回目)
2回目の読み取りで全体的にマーカーをしていきます。下記のように色分けをしました。
- フリクションマーカー
・赤:計画する什器
・青:数値
・緑:アプローチや特徴
- フリクションボールペン
・赤:「約」「以上」「計」等の用語
・青:室の特徴
下記にマーカーの例を載せます。
使用した道具紹介
- フリクションライト ソフトカラー 6色セット
ソフトカラーなので、課題文の邪魔にならないですし、こすると消すことができるマーカーです。
- フリクションボール4
4色(赤、青、緑、黒)のボールペンが1つで済むため、持ち替えなくてもよくなり、とても便利です。
課題文を読み落とさないことが、合格への第一歩なので、マーカーで分かりやすくするといいよ!
条件整理
「課題文の読み取り」が終わり、「条件整理」へと進みました。
今回紹介するのはエスキス用紙の「赤枠」部分です。
1.アプローチの検討
縮尺:1/400で「道路の幅員」、「敷地周辺の状況」によりアプローチを設定しました。
また「延焼ライン」の確認もこの段階で行いました。
北側の隣接する公園は、所有者・管理者が異なるため、安全側をみてアプローチはとりませんでした。
2.建蔽率・容積率の確認
「建蔽率」・「容積率」を計算し、どのくらいの規模になるのか、把握しました。
延床面積が指定されることはありますが、最近の傾向からすると、容積率から自分で延床面積を算出することが多くなっています。
3.建築設備の想定
「空調」「給排水」「電気」「排煙」「消火」「給湯」設備を想定し、内容-規模-設置階を決定しました。
この段階で想定することにより、次の「室に対する必要な面積想定」がスムーズにできます。
4.室における必要な面積想定
各室における必要な面積を想定します。想定した面積は、「7.階の振り分け」で示しています。
5.部門構成の検討
今回の課題は、部門が指定されておりませんでしたが、私は大きく「図書館部門」「展示部門」「管理・共用部門」「設備部門」に分けて計画しました。
図書館部門 |
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展示部門 |
|
管理・共用部門 |
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設備部門 |
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「乳幼児連れに配慮した室等」「施設の運営管理に必要な室」は、自分で考えて計画しなければなりませんでした。計画した内容を下記に示します。
乳幼児連れに配慮した室等
「授乳室」「乳幼児コーナー」「乳幼児便所」を計画しました。
施設の運営管理に必要な室
「交流スペース」「管理事務室」「職員用便所」「職員用更衣室」「応接・館長室」「ごみ置き場」「図書作業室」「エントランスホール」を計画しました。
6.平面ゾーニング、断面ゾーニング
「平面ゾーニング」「断面ゾーニング」を決めることで、建物の構成を明確にしました。
平面ゾーニング
断面ゾーニング
7.階の振り分け
「平面ゾーニング」「断面ゾーニング」を基に課題文の中央部分を利用して表を作成し、各室を階に振り分けました。
- ( )内の数値は、必要面積を表しています。
- 乳幼児連れに配慮した室等は赤で、施設の運営管理に必要な室は青で表しています。
部屋の名前 | 1F | 2F | 3F | |
図書館部門 | 一般開架スペース | ○(600) | ||
児童開架スペース | ○(300) | |||
閉架書架 | ○(150) | |||
対面朗読室 | ○(50) | |||
自習室 | ○(100) | |||
展示部門 | ワークルーム | ○(100) |
| |
企画展示スペース | ○(100) |
| ||
セミナールーム | ○(100) |
| ||
管理・共用部門 | カフェ | ○(50) |
| |
荷解き配本スペース | ○(50) |
| ||
授乳室 | ○(20) |
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乳幼児コーナー | ○(20) |
| ||
乳幼児便所 | ○(20) |
| ||
交流スペース | ○(40) |
| ||
管理事務室 | ○(40) |
| ||
職員用便所 | ○(20) |
| ||
職員用更衣室 | ○(20) |
| ||
応接・館長室 | ○(20) |
| ||
ごみ置き場 | ○(10) |
| ||
図書作業室 | ○(20) |
| ||
エントランスホール | ○(100) |
| ||
設備部門 | ポンプ室 | ○(10) |
| |
消火ポンプ室 | ○(10) |
| ||
合計 | 630 | 620 | 700 |
8.その他の施設等の検討
その他の施設等の面積を算出しました。
今回は「駐車場」・「駐輪場」が指定されており、検討を行いました。
「課題文の読み取り~条件整理」は以上で終わりだよ。
続きの記事では、「プランニング」について説明するよ! ぜひ見てね!!
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