一級建築士製図試験で一番重要なことは「課題文の読み取り」で読み落とさないことです。
課題文を読み落としてしまい、“要求室の欠落”や“法規違反”をしてしまうと一発アウトで不合格になってしまいます。
この記事では、令和5年度一級建築士製図試験「図書館」で合格した著者が課題文を振り返ります!
⚪︎こんな方にこの記事はおすすめ!
- 令和5年度の課題内容が知りたい!
- 課題文を解説付きで読みたい!
- 合格者はどう課題文を読みとったのかを知りたい!
この記事では、下記画像の青マーカー部分「Ⅰ.設計条件-2.建築物」を振り返り、解説します。
この記事は、下記の記事の続きです。ご覧になってからをおすすめします。
≫ 合格者が課題文を振り返る!令和5年度一級建築士製図試験「図書館」vol.1はこちらから
構造種別等、バリアフリー法
(1)構造種別は自由とする。
(2)「建築物移動等円滑化基準」を満たすとともに、ユニバーサルデザインが求められている。
構造種別等
構造種別は、自由となっていますが、RC造(鉄筋コンクリート造)で計画します。
バリアフリー法
課題文には「移動等円滑化基準を満たすもの。」と書かれており、移動等誘導円滑化基準に適合しなくて良いように思われますが、利用者のゾーンは、誘導基準に適合させる方が望ましいです。
廊下
バリアフリー法(円滑化基準) | 1.2m以上 (50m以内ごとに車椅子の転回スペースを設ける) |
バリアフリー法(円滑化誘導基準) | 1.8m以上 (50m以内ごとに車椅子のすれ違いスペースがある場合は、1.4m以上) |
廊下の幅員は、内法寸法で測ります(有効幅員)。
柱が突出している部分で、有効寸法が不足しないように注意が必要です。
※階段と異なり、廊下の有効幅員には手摺の出幅の緩和はないです。
階段
「利用者用階段」と「管理者用階段」では、寸法が異なります。注意しましょう!
階段の種類 | 階段幅、踊場幅 | 蹴上げ | 踏面 |
移動等円滑化誘導基準 (利用者用) | ≧140 | ≦16 | ≧30 |
建築基準法令-第23条 (管理者用階段) | ≧120 | ≦20 | ≧24 |
要求室等
部門指定はされませんでしたが、著者は、大きく「図書館部門」「展示部門」「管理・共用部門」「設備部門」に分けて計画しました。
図書館部門 |
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展示部門 |
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管理・共用部門 |
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設備部門 |
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図書館部門
一般開架スペース
蔵書数は5万冊程度とする。
今回は、蔵書数から書架部分の面積を決めなければなりませんでした。
ユニバーサルデザインを考慮することが求められており、書架間の寸法を1.8m以上で計画しました。
その場合、1m2あたり140冊程度となるため、書架部分で360m2程度が必要となります。
床面積の合計が計600㎡以上。
「一体で計画」するのか、「別々に計画する」のか、受験者に選択させるような出題の仕方でした。
開放的な空間とするため、床面積の合計200m2以上の部分は高天井とする。高天井は最も低い所で高さ3 . 7m以上とする。
高天井にするために2層で計画した場合、耐火構造で3階に居室があるため、防火区画(竪穴区画)が発生し、注意が必要でした。
安全側をみて、特定防火設備で計画することをオススメするよ!
児童開架スペース
靴を脱いで床に座れる「お話コーナー」を計画。
下足棚を計画する必要がありました。
プレイルーム(約30㎡)、一時託児所(約30㎡)、サービスカウンターを計画。
無窓居室で計画した場合、避難距離が短くなるから、それぞれの室に窓をつけるように計画しよう!
閉架書庫
蔵書数は9万冊程度で、床面積が150㎡以上必要。
日本ファイリング 製品情報-図書館-移動棚より
上記のような集密書架は、日建学院では課題で出てきておらず、イメージできなかった受験生も多かったと思います。
対面朗読室、自習室
自習室は床面積、計100㎡以上。
「まとめて計画する」「分割して計画する」2パターンを選択することが可能でした。
展示部門
ワークルーム、企画展示スペース、セミナールーム
Ⅰ.設計条件の主文(1)「多世代の利用や多様性の尊重・交流を促し、地域住民の文化活動の拠点とする。」から
著者は「展示部門」として、1階にまとめて計画し、連携をとれるようにする選択をしました。
管理・共用部門
カフェ
「西側道路の上部に駅があること」「北側に眺望が良い公園がある」ことから、北西側にカフェを配置することがベストな選択だと感じました。
荷解き配本スペース
配本車の駐車スペースを設けないといけないため、1階に計画しました。
「企画展示スペースの展示品等の搬出入にも使用する。」と書かれていることから、『企画展示スペースに近接して計画する』か『EVに近接して配置し、上階に搬出入すること』が考えられます。
乳幼児連れに配慮した室等
著者は「授乳室」「乳幼児コーナー」「乳幼児便所」を計画しました。
他には、各便所におむつ交換台付きの便所を計画することが考えられます。
施設の運営管理に必要な室
著者は「交流スペース」「管理事務室」「職員用便所」「職員用更衣室」「応接・館長室」「ごみ置き場」「図書作業室」「エントランスホール」「職員休憩室」「談話コーナー」を計画しました。また設備として、「BDS」「ブックポスト」を計画しました。
「乳幼児連れに配慮した室」や「施設の運営管理に必要な室」を自分で考えて計画しなければ、ならなかったよ!
今後の課題もこのような出題をする可能性があるから、課題発表されたら、必要な室を確認しておこう!
設備部門
ポンプ室
水道直結増圧方式の給水方式のため、10㎡程度で計画することが望ましいです。
消火ポンプ室
屋内消火栓用のため、10㎡程度で計画することが望ましいです。
エレベーター
「施設利用者用」と「管理者用」をそれぞれ1台ずつ計画しました。
屋上設備
- 空調設備
空調方式:空冷ヒートポンプパッケージ方式で計画したため、「空調室外機」を計画しました。
- 電気設備
「キュービクル」「蓄電池設備」「太陽光集熱パネル」「太陽光発電パネル」「非常用発電設備」を計画しました。
記述(計画の要点等)の(4)で屋上設備の配置計画で考慮したことが出題されました。
各設備の必要な寸法や注意点等を確認しておきましょう。
次の記事に続くよ! ぜひ見に来てね!
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