一級建築士製図試験で一番重要なことは「課題文の読み取り」で読み落とさないことです。
課題文を読み落としてしまい、“要求室の欠落”や“法規違反”をしてしまうと一発アウトで不合格になってしまいます。
この記事では、令和5年度一級建築士製図試験「図書館」で合格した著者が課題文を振り返ります!
⚪︎こんな方にこの記事はおすすめ!
- R5年度の課題内容が知りたい!
- 課題文を解説付きで読みたい!
- 合格者はどう課題文を読みとったのかを知りたい!
課題の概要
「要求図書」、「留意事項」ともに令和4年度試験と変わらない内容となりました。
課題名
要求図書
- 1階平面図・配置図(縮尺1/200)
- 各階平面図(縮尺1/200)
※各階平面図については、試験問題中に示す設計条件等において指定する。
- 断面図(縮尺1/200)
- 面積表
- 計画の要点等
建築物の計画に当たっての留意事項
建築技術教育普及センター【令和5年一級建築士試験「設計製図の試験」の課題】より
- 敷地の周辺環境に配慮して計画する。
- バリアフリー、省エネルギー、二酸化炭素排出量削減、セキュリティ等に配慮して計画する。
- 各要求室を適切にゾーニングし、明快な動線計画とする。
- 建築物全体が、構造耐力上、安全であるとともに、経済性に配慮して計画する。
- 構造種別に応じて架構形式及びスパン割りを適切に計画するとともに、適切な断面寸法の部材を計画する。
- 空気調和設備、給排水衛生設備、電気設備、昇降機設備等を適切に計画する。
令和4年度試験から留意事項の欄に「二酸化炭素排出量削減」が追加されたよ!
これからも記載される可能性が大きいから、「計画」・「構造」・「設備」で対策できるようにしよう!
合格率
ランクⅠ:33.2%、ランクⅡ:2.1%、ランクⅢ:22.1%、ランクⅣ:42.6%となりました。
図から分かるように、ランクⅡの割合が少ないため、ランクⅢとランクⅣに該当しなければ、合格の可能性が高くなることが分かります。
ランクⅢ:重大な不適合やランクⅣ:一発アウトに該当しないようにしっかりと対策していきましょう!
≫ 【建築技術教育普及センター 過去の試験問題等】はこちらから
上記の「過去の試験問題等」から問題をダウンロードできるから、実際に印刷して手元で見てみて!
設計条件
この記事では下記画像の赤マーカー部分「1.敷地及び周辺条件」まで振り返り、解説します。
序章
都市の市街地にあり、近隣住民に親しまれている緑豊かな公園に隣接する敷地に、企画展示スペース等を有する地域の公立図書館を計画する。
計画に次のことが求められている。
⑴ 多世代の利用や多様性の尊重・交流等を促し、地域住民の文化活動の拠点とする。
⑵ 読書空間は、自然採光を活用するとともに、蔵書の管理・保存に配慮する。
⑶ 省エネルギー化の実現及び再生可能エネルギーの導入によるエネルギー自立度を高めた計画とする。
読み取れること
- 「公園と図書館」の関係性が重要。
- 「展示部門」と「図書館部門」のゾーニングが必要。
- 多世代が交流できる施設にする。
- 読書空間は、明るい空間。蔵書の管理・保存が必要(BDS等で)。
- Low-E複層ガラスや太陽光パネル等の対策が必要。
以上のことが読み取れました。
敷地及び設計条件
(2) 敷地は平坦で、高低差はない。また、歩道の切り開きは、1か所(6mまで)のみ可能。
(3)敷地及び周辺は、第二種中高層住居専用地域(道路高さ制限及び隣地高さ制限における斜線勾配はそれぞれ1.25とする。)。また建蔽率の限度は、80%(所定の加算を含む。)、容積率の限度は300%。
(4)敷地に隣接する公園及び公共駐車場の所有者及び管理者は、敷地及び図書館の所有者及び管理者と異なる。
歩道の切り開き
1箇所のみで、6mまで切り開きOK
交差点から5mまでは、歩道の切り開きはできないため、注意しよう!
高さ制限「第二種中高層住居専用地域」
〇道路斜線制限 (住居系のため ×1.25)
(2X+6)×1.25 【商業系の場合 ×1.5】
〇隣地斜線制限
3階建ての指定のため、20mを超えない。→ 該当しない
〇北側高さ制限 (中高層住居専用地域のため)
10+1.25Y 【低層住居専用地域の場合 5+】
建蔽率及び容積率
敷地面積:1,680㎡
〇建蔽率(80%) :1,680㎡ × 0.8 = 1,344㎡以下
〇容積率(300%):1,680㎡ × 3.0 = 5,040㎡以下
隣接する「公園」と「公共駐車場」の所有者及び管理者は「図書館」と異なる
「公園」と「公共駐車場」は、「所有者」及び「管理者」が違うため、基本的には敷地を行き来できません。
ですが、【管理者と協議してアプローチできるようにした】と図面に書けば、アプローチを設けることができると考えます。
自分は、安全側をみて公園側にアプローチをとりませんでした。
「歩道の切り開き1ヵ所のみ」「敷地の所有者及び管理者」は、初めて出題されたよ! チェックしてね!
敷地図
アプローチの設定
- 西側道路:歩道付き道路で幅員12m、北側に駅がある → メインアプローチを設定しました。
- 南側道路:歩道無し道路で幅員6m、交差点が西側にある → 東側にサービスアプローチを設定しました。
隣接する「公園」と「公共駐車場」
- 公園:「管理者と協議してアプローチできるようにした」の文章を加え、アプローチ計画は可能です。
- 公共駐車場:隣地境界線に沿って、植栽帯が存在するため、直接のアプローチはできません。
延焼ライン
延焼ラインは以下の境界線から、建築物の1階で3m、2階以上で5m離れた位置に適用されます。
- 隣地境界線
- 道路中心線
- 敷地内に2つ以上の建物があり、床面積合計が500㎡を超える場合、外壁同士の中心線
- 北側:防火上有効な公園 → 延焼ラインは生じない。
- 西側:道路幅員が12m → 延焼ラインは生じない。
- 南側:道路幅員が6m → 道路中心線から1階で3m、2階以上で5m。
- 東側:隣地が公共駐車場 → 隣地境界線から1階で3m、2階以上で5m。
主要な室の方角
北側に景観が良い公園が存在 → 主要な室を向け、大きな開口部を設け、眺望に配慮しました。
地盤略断面図
敷地の一部に4m以深まで既存建築物撤去範囲がある今回の地盤は、対応として2パターンが考えられます。
べた基礎+地盤改良
GL-2.0までべた基礎にし、既存建築物撤去範囲の4m部分は地盤改良で対応する。
独立基礎+地盤改良
GL-2.0まで独立基礎にし、既存建築物撤去範囲の4m部分は地盤改良で対応する。
作図が早くできるため「独立基礎」より、「べた基礎」を計画することをお勧めします!
次の記事に続くよ! ぜひ見に来てね!
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