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令和6年度一級建築士製図試験課題「大学」の注意ポイント/令和5年度合格者が分析

製図試験

2024年(令和6年)7月26日(金)に一級建築士製図試験の課題「大学」が発表されましたが、課題に対して“何に注意すればいいか分からない!”という受験生が多いと思います。

私は一級建築士製図試験を3回受験しており、角番(3年目)でなんとか合格することができました。しかしその3年間、過去に出題された課題を何度もこなすなど、たくさん遠回りしてきました。

そこでこの記事では、令和6年度一級建築士製図試験を受験する方が少しでも参考になるように合格者目線から「注意するポイント」「参考図書」をまとめて解説します。

「この記事を読むメリット」

  • 試験課題「大学」の注意するポイントが分かる!
  • 参考となる図書が分かる!

私が3年かけて培ってきた一級建築士製図試験の経験を凝縮しているので、参考にしたい方はぜひ最後まで読んでください!

下記の記事では、3年間経験してきて「実際に使用してみて役立った製図道具」を厳選してまとめています!合わせてご覧になってください!

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令和6年度課題「大学」の公表

2024年(令和6年)10月13日(日)に実施される令和6年度「一級建築士設計製図試験」の課題が試験元から公表されました!

課題名

大学

要求図書

  • 1階平面図・配置図(縮尺1/200)
  • 各階平面図(縮尺1/200)

  ※各階平面図については、試験問題中に示す設計条件等において指定する。

  • 断面図(縮尺1/200)
  • 面積表
  • 計画の要点等

建築物の計画に当たっての留意事項

  • 敷地の周辺環境に配慮して計画する。
  • バリアフリー、省エネルギー、二酸化炭素排出量削減、セキュリティ等に配慮して計画する。
  • 各要求室を適切にゾーニングし、明快な動線計画とする。
  • 大地震等の自然災害が発生した際に、建築物の機能が維持できる構造計画とする。
  • 建築物全体が、構造耐力上、安全であるとともに、経済性に配慮して計画する。
  • 構造種別に応じて架構形式及びスパン割りを適切に計画するとともに、適切な断面寸法の部材を計画する。
  • 空気調和設備、給排水衛生設備、電気設備、昇降機設備等を適切に計画する。
建築技術教育普及センター/
07月26日 令和6年一級建築士試験「設計製図の試験」の課題を公表しました-https://www.jaeic.or.jp/smph/shiken/1k/1k-seizu.html
ひよこ君
ひよこ君

“建築物の計画に当たっての留意事項”において赤文字で記載している部分は、今までの留意事項から追加された部分だよ!

課題「大学」の注意するポイント

自然災害発生時における建築物機能が維持できる計画

建築物の計画に当たっての留意事項において「大地震等の自然災害が発生した際に、建築物の機能が維持できる構造計画とする。」と記載が追加されており、対策が必要となります!

個人的には、“免震構造”や“耐力壁”、“目標耐震性能”、“構造計算ルート”等が出題される可能性が高いと思っています!

地震対策

免震構造

建築物の機能が維持できる構造として「基礎免震構造」が考えられます。平成27年度の試験で要求されており、再度出題される可能性が高いです。以下の点を把握しておきましょう!

  • 免震層のクリアランス確保
  • 変位時における落下防止措置
  • 免震層の計画
  • 免震部材のメンテナンス性
  • 免震層を縦断する配管・配線

下記のボタンから「免震構造」についての記事を読むことが出来るので、ぜひチェックしてみて下さい!

耐力壁

耐震対策として、平成26年度の試験で要求された「耐力壁」が再度出題される可能性が高いです。以下の点を把握しておきましょう!

  • 耐力壁の配置(平面・立面バランス)
  • 全構面数における耐力壁の割合
  • 耐力壁の壁厚
  • 開口周比(r0)の規定

下記のボタンから「耐力壁」についての記事を読むことが出来るので、ぜひチェックしてみて下さい!

目標耐震性能

「目標耐震性能」については、計画の要点(記述)で出題される可能性が高いです。ぜひチェックしておきましょう!

Q.建築物に設定した目標耐震性能(地震力の程度と建築物の状態)において、考慮したこと。

A.解答

  • 多数の者が利用する施設であるため、官庁施設の総合耐震計画基準における耐震安全性の構造体の分類として、Ⅱ類に設定した。
  • 大地震後、構造体の大きな補修をすることがなく、建築物を使用できることを目標とし、人命の安全確保に加えて、十分な機能確保が図られている状態を目指すために、必要保有水平耐力割り増しを1.25とすることで、安全性の高い建築物とした。

「目標耐震性能」とは?

  • 想定する地震力に対して、建築物の損傷がどの程度とするか(耐震性能)の目標を設定すること

多数の者が利用する施設として構造体を「Ⅱ類」相当を目標とするとよいでしょう!

構造計算ルート

構造計算ルート」についても同様に計画の要点(記述)で出題される可能性が高いです。ぜひチェックしておきましょう!

Q.採用した構造計算ルートと採用した理由

A.解答

「ルート3」

  • 大地震時の安全性を確保することができる「保有水平耐力の検討」を行うルート3を採用した。

「構造計算ルート」とは?

  • 建築物が地震に対して、十分な強度安全性を有することを保証するための計算手法や手順を指す。
  • 建築物の設計段階で、地震の挙動や強度を評価するために行われる計算は、多岐にわたる要因を考慮する必要がある

※平面計画を自由にできるという「ラーメン架構」の特徴を生かすため、「ルート3」による構造設計を行うのがよいです!

地震等の災害に対する設備機器の損傷防止

「設備機器の損傷防止」についても計画の要点(記述)で出題される可能性があります。ぜひチェックしておきましょう!

A. 給排水設備衛生設備の損傷防止について考慮したこと

A.解答

  • 「受水槽+加圧給水ポンプ方式」を採用し、“緊急遮断弁”を設置することで断水時に受水槽に貯留した水を利用できるようにした。
  • 受水槽・ボイラー等は振動しない機器のため、鉄骨架台にて躯体に堅固に固定した。
  • 停電時には、非常用自家発電設備により、ポンプを可動できるようにした。
A. 電気設備の損傷防止について考慮したこと

A.解答

  • 屋上にキュービクルに加え、“非常用自家発電設備”を設置した。発電に必要な燃料は軽油とし、3日程度運転可能な燃料タンクを計画した。
  • キュービクル等は振動する機器のため、“防振架台”にて防振対策を行い“耐震ストッパー”にて転倒による損傷防止を図った。
A. 配管の損傷防止について考慮したこと

A.解答

  • 設備配管には、“耐震継手” “可とう継手” “フレキシブル継手”等を活用し、接続部の損壊を防止する計画とする。
A. 天井の損傷防止について考慮したこと

A.解答

  • 天井に設置する設備機器は、地震時の落下防止対策として、変位量を考慮した天井材及び吊り材とのクリアランスを確保した。

津波・大雨による浸水対策

大地震の自然災害が発生した際に~」と記載されていることから、他の自然災害に対応することも考えられます。そのため津波・大雨発生時における浸水対策も解答できるように準備しておきましょう。以下の対策が考えられます。

  • 非常用自家発電設備の採用
  • 電気・機械室を2階以上へと配置

【114条区画】防火上主要な間仕切壁の規定(令第114条第2項)

間仕切壁(114条区画)が必要な用途

「防火上主要な間仕切り壁」が必要となる建物用途に学校(大学)が含まれており、114条区画が必要となります。

計画の要点(記述)で出題される可能性があるため、把握しておきましょう!

建物用途一覧

  • 学校
  • 病院
  • 診療所(患者の収容施設がないものは免除)
  • 児童福祉施設等
  • ホテル
  • 旅館
  • 下宿
  • 寄宿舎
  • マーケット

間仕切壁(114条区画)の設置位置

防火上主要な間仕切り壁の設置位置は、以下となります。

  • 教室等相互の間仕切り壁
  • 教室と避難経路(廊下・階段)を区画する壁

間仕切壁(114条区画)の構造

「防火上主要な間仕切り壁」に要求される構造は、以下となります。

  • 準耐火構造(または耐火構造)で造ること
  • 小屋裏または天井裏まで到達させる
ひよこ君
ひよこ君

計画の要点(記述)で出題されても、解答できるように準備しよう!

採光計画

床面積に対する採光面積(有効採光率)

大学・専修学校等の建築物は、有効採光率が1/10以上必要です。

採光がとれるように窓は大開口で計画しましょう!

有効採光率

有効採光面積/居室の床面積≧1/10

有効採光面積の算定式

有効採光面積の算定式は次の通りです。

  1. W:窓の面積
  2. A:採光補正係数

有効採光面積=W×A

採光補正係数の算定式

有効採光面積の計算は、用途地域によって異なります。注意しましょう!

用途地域算定式

採光補正係数を1とみなせる水平距離

住居系地域(D/H)×6-1.47m
工業系地域(D/H)×8-15m
商業系地域(D/H)×10-14m
  1. D(水平距離):開口部の直上にある建築物の部分から“隣地境界線”や“他の建築物”までの距離
  2. H(垂直距離):開口部の中心から直上にある建築物までの距離
ひよこ君
ひよこ君

間仕切壁(114条区画)と同様に計画の要点(記述)で出題されても、解答できるように準備しよう!

階数指定なし

前回の試験同様「階数指定がない」ことから3階建て~7階建てまで想定でき、“基準階型(同一平面が複数階)”“ゾーニング型(3階建て)”の2パターンが考えられます。基準階型とゾーニング型では、エスキスの仕方が異なるため、どちらのパターンが出題されてもプランをまとめられるように学習しておきたいところです。

また地下1階も出題される可能性があることから、“スロープ勾配”“車路幅員”“梁下高さ”に注意して計画できるように対策しましょう!

著者「ひよっこ」
著者「ひよっこ」

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第1部で大学キャンパスにおける施設の設計の実践

第2部で外部空間・建築に関する空間論・建築論

第3部で海外大学キャンパスを紹介しています!

ひよこ君
ひよこ君

以上で、令和6年度一級建築士製図試験の課題についての説明は終わりだよ!

最後まで読んでくれて、ありがとう!

一級建築士における有益な情報を掲載しているから、ぜひ他の記事も読んで、しっかりと対策をしてみてね

下記の記事では、学習の参考となる令和6年度(2024年度)一級建築士製図試験「大学」のまとめ記事を掲載しています!合わせてご覧になってください!

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一級建築士

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